大阪西成の商店街(萩之茶屋商店街、今池商店街、動物園駅前商店街)にはカラオケ居酒屋が150店舗あります。
メチャクチャ多い。そこいらじゅうにあります。
西成のカラオケ居酒屋は基本、中国人のお姉さんが相手をしてくれるお店がほとんどで、料金はドリンク5百円、おつまみ500円~300円、カラオケ1曲100円と、どのお店も一律な感じです。
もちろん例外もありますけど(^^;
さて、そんなカラオケ居酒屋ですが私自身は4回ほどしか行った事がありません。
私は西成に行くときは基本、単独行動ですからね。
常連さんが盛り上がってるカラオケ居酒屋に一人で入るのはチョット勇気がいるじゃないですか。
自分、ビビリなんで入りにくいんですよ('A`)
で、今回は知り合いと一緒に西成に来たので
「1人じゃないなら入れるもん」
というわけで、カラオケ居酒屋初心者による店内レポート。
私のカラオケ居酒屋に対する印象と言うのは
2015年の産経新聞記事
「あいりんは中国人に乗っ取られた」ガールズバー侵食
https://www.sankeibiz.jp/econome/news/151107/ecc1511071713003-n1.htm
で得た知識に基づくものだけです。
この記事では、カラオケ居酒屋の主な客層は地元あいりん地区に住む高齢化して年金や生活保護で生計を立てている元日雇い労働者のオッサン、お爺さんだとしています。
そして記事を読めば、福祉の金でカラオケ居酒屋の女の子と歌って呑んで面白可笑しく生活している自堕落で遊び人なオッサンと、そのオッサンが落とす福祉の金目当てにセコイ営業をしているカラオケ居酒屋の中国人・・・・みたいな印象を多くの人が持つでしょう。
私も、カラオケ居酒屋の客層と言うのは基本的に地元の高齢者なのだろうなと思っていました。
2019年現在のカラオケ居酒屋
しかし、実際に行ってみると客層は多種多様です。
もちろん、記事に書かれているように福祉の金で生きている高齢のあいりんのオッサンも居るにはいるのですが、それ以外にも2,3人で連立って来てる若い子や、仕事帰りのサラリーマン風の男、なぜか日本語と中国語を巧みに操るメガネの男、妙に貫禄の有るオッサンなどなど矢鱈と個性豊かなラインナップ。
なにせ産経新聞の記事は2015年の記事ですから。
2019年の現在では状況が変化してしまったのでしょう。
この数年間に、西成の町は大きく変貌しました。
かつては地元の大阪人でも滅多に立ち入らない危ないスラム街みたいな印象だったのに、大阪市の西成浄化計画のおかげなのか、ケニチさんやジョーブログみたいなyoutuberのおかげなのか、ともかくも西成の町は別に大して危険ではなく、むしろ安い値段で飲み歩いたり、ドヤホテルに宿泊したりできる楽しい街であるという認識がひろまって、町の外から遊びに来る人が大幅に増えているのが現状です。
で、まあイロイロな客が来ているのは確かなのですが、私が印象に残ったのは地元のあいりん地区の高齢者のお客さん。
これね、産経新聞の記事にあるような自堕落な遊び人のオッサンとか、あわよくば女の子をアフターに連れ出そうとか、そんな肉食系じゃないんですよ。
そうじゃなくて、孤独で他人に相手をされないからカラオケ居酒屋のお姉さんに構って欲しい。自分のことを認めてほしい・・・つまり、今流行の承認欲求ってやつ・・・・孤独すぎるから、誰かに相手をして欲しい・・・そんな感じ。
つまり、女の子という相手を欲望する以前のレベル、自分という存在が不安定なレベルなんですよ。
だから、誰かに自分を承認してもらいたい。肉食してる場合じゃない。
女の子に気にかけて貰いたい。好感を持ってほしい。
でもね、おっさん達、女の子の気を引く方法が明らかにピント外れなんだよ。悲しいことに。
オッサンが、店内や女の子の写真を取ってね、それをプリントしてお店の壁に貼るったりアルバム帳をつくったり・・・・別にそれ、女の子は嬉しくないし・・・壁のその辺に貼ってくれとか注文してきたりして面倒なだけでしょう。
あと、お店に食べ物を持ち込んでくる。プレゼントと言うことなのだろう。近くの店で買ったプチトマトや苺、ミカンなどの果物系だけなら良いけど魚介類の干し物とかも。
まあ、プレゼントなワケですからお店のお姉さんも無碍にはできない。
一応、「ありがとー」って対応する。
でも実際は、持込じゃなくてお店のおつまみを金を払って注文してくれよ・・・と思ってるでしょ。外から持ち込まれても一円の得にもならない('A`)
内心、迷惑に思われてるんですよね。女の子から。
でね、こういう書き方をすると私がオッサンのことを馬鹿にしているのか・・・みたいな感じになっちゃうんですが、そういうわけではない。
私自身も、コミュニケーションが得意なタイプではないですから。
オッサン達をみていると、未来の私の姿を見ているようなんですよねえ。
独身男の末路
現在日本において、生涯独身の男が2割から3割ほど居るらしい。
そして、私自身も独身です。
まあ、その2割3割の男が独身である理由は人それぞれで、自由に生きるのが好きな人間や、物事を損得でしか判断しない徹底合理主義みたいな理由も居るでしょう。好きで独身なわけです。
でも、そうじゃなくてコミュニケーション能力やその他イロイロな能力が低くて独身であるという人間も当然居るでしょう。
そういう人間は、若いうちは強がって「一人のほうが自由で気楽だからいいよ」なんていってられるでしょうけれど、歳をとって仕事上の人間関係もなくなってしまったらそういう人間はメッチャ孤独になっちゃう。
歳もとってるから、知力、体力、精神力も弱ってしまっている。
そうなったらね、たぶん行ってしまう。カラオケ居酒屋に。
「だれか、ワイのことを構ってほしいんやで('A`)」って。
で、お店のお姉さんのほうも心得たもので、そういう客に対しては「男と女」の関係じゃなくて「ママ、優しいお姉ちゃん、良くできた孫」みたいな感じで対応している。
正直、客がお店に精神的に依存している状態なのだから、もっとお金をボッタくろうと思えばボッタくれるはずなんだけど、そういうことはしない。
なんだかんだで良心的なんですよね。
だから、産経新聞に書かれていた”福祉の金で酒飲んで女の子とイチャイチャする自堕落で遊び人なオッサンと、あこぎな商売をする中国人”みたいな構図だけじゃないんですよね。
なんちゅうか、老人福祉的な側面があるというか。
もし、カラオケ居酒屋が西成からなくなってしまったら、ストレスをためた不機嫌な老人が増えて街の雰囲気も悪くなると思う。
だから、カラオケ居酒屋。非難できひんやん?むしろ、ありがとうやで(・∀・)
そんなわけで、西成のカラオケ居酒屋。
ぼったくりもないし、中国人のお姉さんは愛想がいいし、興味のある方は行ってみたらエエんじゃないでしょうか。