流されて大阪湾

人生、いざとなったら西成やで(^^) 

樋田容疑者も参考にした?市橋達也と西成。2007年代の西成では身分を偽って仕事をすることが可能だった。

英国人英語教師リンゼイ・ホーカーさん殺害事件。2007年の事件です。

 

捜査の結果、有力な容疑者として市橋達也の名前が浮上。

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警察は4人連れで千葉県にある市橋達也のアパートを取り囲んだのですが、ここで彼は刑事ドラマ張りにアパートの窓から飛び降りて、制止する警察官にタックルをかましてそのままダッシュ

 

まんまと逃げおおせることに成功しました。

 

それから2009年11月に大阪南港のフェリーターミナルで逮捕されるまでの2年半、市橋達也は東北青森から南の沖縄まで日本全国を転々として逃亡生活を繰り広げます。

 

その逃亡生活の様子が市橋達也の手記「逮捕されるまで 空白の2年7ヵ月の記録」に詳しく記されているのですが、そこに大阪西成で土方仕事をみつけて逃亡費用を稼ぐ話が出てきて、ちょっと興味深い内容なので紹介します。

 

所持金5万円。自分で整形

市橋達也がアパートから逃げ出した時点で手持ちの金は5万円。着替えの服など持ってないので、服は拾ったり、ホームレスから分けてもらったりして確保。

逃亡の途中で釣り糸やハサミをつかって、自分の鼻や口を整形手術します。

麻酔も何もなしで、医学の知識など全く無い彼が自分でざっくりハサミで切る。

いやいや、怖いよ。凄い根性だよ(;д;)

 

でも、こういう普通の人間なら躊躇してしまいそうな事を平然とやってのける所は、なんというか悪い意味で躊躇いが無いと言うか・・・こういう人間だからこそ、事件を起こしてしまったんじゃないかと・・・・・

 

で、まあそれはさて置き、悪人を褒めるのはどうかと思いますが、彼は意志が強く計画的に行動できる人間のようで資金5万円は大切に使っていたのですが、それでも資金が尽きてきてお金を稼が必要が出てきました。

 

しかし、言うまでも無く彼は逃亡犯なので身分証明が必要な職場では働くことが出来ません。

 

そんな彼の頭に浮かんだのが大阪西成(^^)。

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市橋達也は関東の人間で大阪には何のかかわりも無い人間なのに・・・まあ、西成の名前は悪い意味で全国的に知られていたのでしょうね。

 

「西成に行けば身分証明が無くても働けるんちゃうか?」

そんなわけで西成にやって来た彼ですが、当時の西成の荒んだ町の様子にビビッてしまって、そのまま退散してしまいます。

 

まあ、2007年当時の西成は今みたいに誰でもウエルカムな雰囲気じゃなかったですからね。たしかにチョット入って行きにくい感じだった。まして、彼はお金持ちの家の子なんだから、そりゃービビるのも無理は無いかもしれません。

 

ダッシュ島じゃないんだから・・沖縄で無人島生活

そんな彼が次に目指したのは沖縄。

どういう発想なのかワケがわからんのですが「お金が無いなら無人島で暮らせば良いやん?」ということで、沖縄の無人島にフェリーに乗っていく。

 

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しかし、DASH島やよいこのいきなり!黄金伝説じゃないんだから、素人が無人島でサバイバルするなんて不可能。

結局、無人島から沖縄本島に戻ります。

 

いよいよ資金的に切羽詰った彼は、那覇で職探しを開始。

コンビニのフリーペーパーにのっていた土木関係の会社とコンタクトを撮ることに成功した。

ここで彼は「神奈川県で引きこもりをやっていたが親に勘当されて家を追い出された」「沖縄にあこがれがあってやってきたが仕事が見つからず、公園で寝泊りしている」と嘘をついてなんとか雇ってもらうことに。

 

まあ、沖縄っていう所はバックパッカー的な旅人のメッカだったりで社会のハミ出し者に優しいというか、まあ人情味があるというか、いろいろイイ加減なところがあって、彼のようなホームレス同然の怪しい人間も受け入れてくれる懐の深さがあるのかもしれません。

 

沖縄の土木現場で働き始めた彼は、真面目に仕事をして周りの人間ともなんとか上手くやっていくのですが、仕事仲間に「君って、高橋さん?」と聞かれて、「市橋を高橋と言い間違えたのだろう。指名手配犯だと気付かれてしまった」と考えて会社から無断で逃亡。

 

働いた金でアウトドア道具をそろえて、再び無人島に戻った彼は何とか安全に生活することに成功するのですが、いくら無人島生活でも時々は買い物にでかけるのでお金が減っていき、再び働くことを決意。

 

西成でお仕事。貯金100万円

こんどは沖縄ではなく、再び大阪の西成に仕事を探しに行きます。

沖縄での土木仕事で自信をつけた彼は、あいりん総合センターに停まっている仕事募集の張り紙をしたバンに勇気を出して飛び込みます。

 

その結果、建設会社に雇ってもらうことに成功して神戸の飯場(現場作業員を寝泊りさせるための建設会社が運営する宿舎)に連れて行かれる。

飯場で住所や名前、年齢など書く書類を渡されますが、偽名をつかい神奈川県出身と書くとそのまま通ってしまう。証拠の免許証や保険証を提示しろとは言われない。

 

その辺は結構テキトーというか、飯場に来る人間はいろいろ事情があるのだろうから深く追求しないと言う不文律が有るのかも知れません。

 

作業着や安全靴は会社から支給され、飯場の寮費は一日3000円。彼は土工という現場の雑用係の仕事をして一日の給料は1万円。

お金持ちの家の息子で、それまでまともに働いたことも無かった彼ですが、ここでは人間関係でトラブルにならないように愛想よく振る舞い、現場でもキビキビ真面目に働いて雇い先からの評価は高かったようです。

 

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結局、この飯場で働いた結果、80万円程度の貯金ができる。

貯金も出来て、職場の人間関係にも一応は適応できた彼はこの職場でもっと長期間働きたいと思うようになりますが、今回も沖縄のときと同じように仕事仲間に正体を勘付かれた疑いが出てきたので、無断退職して飯場から逃げ出します。

 

西成から飯場にいけば、細かい素性を詮索されたりせず、嘘の名前と住所でも働くことが出来る。

安定してお金を稼ぐ方法を見出した彼は、その後、沖縄の無人島と西成を行き来する生活を始めます。

 

そして、3度目の飯場生活で100万円以上の貯金が出来たころ、彼は「この顔でいる限り、いつも周りの人間に正体を気づかれないかビクビクして生きなければならない。貯金が出来たから、このお金で整形手術を受けて顔を作り変えよう」と考えて、名古屋の美容整形医院に行きます。

最初は目を引くホクロを取ってもらう手術。

ところが、これが運の尽きでした。

男性でホクロを取る整形手術を受ける人間は珍しく、医師は不審に思い印象に残っていたんですね。

で、手術後にしばらく経ってから市橋容疑者の手配写真と似ていたことに気づいて警察に通報。

整形医院のカルテから、現在の彼の顔を正確に描写した手配写真が出来てしまいます。

 

美容手術を受けていたことと新しい手配写真が出来たことで、再び事件が世間の注目を浴びるようになり、彼も「人目のつく場所にいたら捕まってしまう。沖縄の無人島に戻ろう」と考え大阪の南港へ・・・・・・

 

タイーホ(;д;)私が思うこと

沖縄行きの便を待つ市橋達也

しかし、港の職員が彼の不審な様子に気付いて警察に通報。

 

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ロビーで座っているところを警察官に声をかけられた彼は・・・たぶん、2年半の逃亡生活で精神的に疲れ切っていたのでしょう。

 

大した抵抗もせず、素直に警察官に逮捕されます。

2009年11月の出来事です。

 

 

・・・・・・・さて、まあざっとこんな感じの逃亡記なのですが、私的な注目点は・・・やっぱり、あいりん総合センターで手配師から紹介される土木関係の仕事は身元がイイ加減でも、住所や名前が嘘でも、阿吽の呼吸で深く詮索され無いんだなと。

 

人生いよいよ追い詰められて、身を隠してお金を稼がなくてはいけないとき、西成に来れば何とかなるんだなと。

 

ただ、これは2007年から2009年の話ですから。もう、10年近く前の話です。

しかも、あいりん総合センターは取り壊されて職安の機能は南海電鉄高架下のあたらしい事務所に移転することになっているわけで、今までのような感じの業者のバンがフロントガラスに仕事の条件を貼り付けて作業員を募集するような形式が今後も続けられるのか・・・

 

観光需要や大阪市の政策で西成の町が豊かで綺麗になっていくのは良いことですが・・・なんて言うんですかねえ、社会のハミ出し者の最後の居場所としてのイロイロいい加減でテキトーで、グレーゾーンな西成がなくなってしまうのは社会全体としてみるなら果たして良い事なのか悪いことなのか。うーん(;д;)

 

nishinari-hotel.hatenablog.com